井戸が眠る

なすくんが笑ってるから今日も五億の星が笑って見える

魔法使いは19歳

 

「なんて美しいバイオリン。
まるで神さまが弾いているみたい。
だからわたし、
だからわたしは、神さまを信じます」


好きな本に出てくる詩にそんな言葉があって、私は初めて読んだ時から生活の中で、いつもふとそれを思い出す。
神さまみたいに綺麗なものを見た時に、やっと神さまを信じられる気持ち。

この世はそんなに甘くないって生きれば生きるほど分かってくるので、助けてくれる神さまなんてそう簡単には信じられない。奇跡はたまにしかないから奇跡で、運命だって不確かなもので、私たちは魔法を使えない。
でも、春。涙をキラキラさせながら歌うなすくんを見て、私はおんなじように心から思った。

なんて綺麗な光、なんてあったかい気持ち。
魔法みたい。魔法使いが今この瞬間確かにあの舞台の上にいる。だからきっと、この世界に魔法はある。
だから私は運命を信じているし、魔法を信じようと思った。


まず2021年を思い返そうとした時に魔女宅があることに「え!?今年!?」ってなるしその前にドリボも(12月からではあるけれど)あるので「え!?今年!?」ってなるよね、びっくりだよね。あっという間の一年。
画面越しにきらめきを貰った去年と比べて、今年はなすくんに会えた年だった。もちろん今まで通りでは全くないけれど、それでもなすくんと一緒に過ごす季節が少しずつ戻ってきた。


春。夢の舞台。どきどきしながら新国立劇場の長い階段を登った。
包み込むような優しい音、主語デカオタクなのできっと那須担みんなそうだと勝手に思ってるんですけど、あのイントロ?メインテーマ?の優しい音階を聞くだけで、ああなすくん!って思った。この優しい舞台に、あたたかな空間に、なすくんが立てていることが本当に嬉しい。だってなすくんは優しい。ずっと、ずっと優しくて真っ直ぐな男の子だから、やっぱり私が思う『なすくん』って、あの音だった。
努力して、辛いこともあったからキキの気持ちがわかるって言うトンボくん。一緒にキラキラの瞳で、道筋を探るトンボくん。頑張ってきたから、努力に自信があるから、だから人に「頑張れ」を言える、そんななすくんと重なって涙が出た。

初めての遠征。夢の遠征!ひつまぶしを食べながら、なすくんのためにとったホテルで、ラジオとテレビと、どっちも同時に美 少年が出ていて身体が足りなかった。身体が足りないくらい彼らが羽ばたいていることが感慨深くて、嬉しかった。

なすくんを好きになる前から、個人的に思い出の詰まっているメルパルク。なんだか人生の好きが一周して、戻ってきたような気持ちだった。
私はなすくんを好きになってから新しい感情や世界を見せてもらってばかりで毎日が新鮮なんだけれど、でも、なんだかなすくんを好きになってから、昔の自分を思い出すような、昔捨ててしまった好きや諦めた気持ちや見ないふりをした傷にふと出会うような、改めて救われるような、そんな気持ちになることがあるから不思議だった。


へにゃりと眦の下がったなすくんを、泣きそうなあどけない口元を、涙声を聞きながら、魔法だと思った。とめどない好きが怖いくらいに襲ってきてどうにかなりそうだった。多分あの時、私は日常が辛かったり人生の節目にいて悩んでいたりした今の私だけじゃなくて、何故だか小さい頃の自分にまでまるごと魔法がかかって泣いていた気がする。
そんな舞台で、そんな好きだった。


天才なんかじゃない、選ばれたラッキーな子ってだけじゃない。
死ぬ気の努力と、覚悟を越えて、魔法みたいな顔して立ってくれている、ただの人間の19歳、そうたった19歳の男の子。
きっと嫌なことがあったら普通に悲しいし、転んだらおんなじように赤い血が出るし、理不尽な言葉をかけられたら腹が立つし、イライラしたら何かにあたりたくなる時だってあるし、疲れた時は何もやる気がなくなったり、夜中に将来が見えなくなってちょっと不安になったり、誰かが羨ましくなったり無意識に誰かと比べて安心してしまったり、そんな誰もが当たり前の日常の上におんなじように立ってる、19歳の男の子。
それなのに、いつも舞台の上で、魔法みたいな顔して立ってくれる。人間だけど自分だけの魔法で飛んだトンボくんみたいに、たしかに「魔法のおすそわけ」をしてみせたあの男の子みたいに、星から生まれたようなきらめきで、アイドルとして立ってくれている。
だからやっぱり、なすくんは私にとってれっきとした魔法使いで、私は魔法ってこの世に、そしてきっと自分にも、あるって信じられるのだと思う。
帰りの新幹線、何度も見たはずの車窓の景色と、何度も聞いたはずの到着音。それさえもいつもと違って見えるみたいな、そんな不思議な帰り道だった。


なすくんの涙をそんなにたくさん見たことはないけれど、私が見る時、なすくんは泣きながらでもいつもちゃんと前を見ている。少し顔をそらしたり一瞬俯いたりしながらも、でもちゃんと前を見てそのキラキラな瞳を向けるのだ。ちゃんと、笑うのだ。それがいつも強くて、眩しくて、どうしようもなく愛しくて、そして私にとっての勇気になる。
凄い男の子だと思う、ほんとに。


夏。二度目の!主演ドラマ。宝物の夏がまた増えた。
真っ直ぐで優しくて、鈍感でかわいいヒーロー。自担がヒーローになった夏。自担がヒーローになった夏ってすごくないですか?もうそれだけで、ほんとにもうそれだけで全部が大丈夫になる夏だった。
大好きなサマステ、久しぶりのあの灼熱の屋上。生徒会長にもヒーローにも、アイドルにもなってくれたなすくんが、本当に久しぶりのアイドルのなすくんがそこにいることが嬉しくて、また夏が大好きになった。
happinessの6人を見て、もう本当に一生こうやって笑ってて欲しい!それだけで良い!それがとびきり一番良い!の気持ちでいっぱいになった。
オタクの大好物:一般人の反応、みたいなところあるので、関わったことのなかった戦隊好きの方々の言葉を見るたびに泣きそうなくらい嬉しかった。大好きだから、愛されてほしい。守られてほしい。だから、色んな人が6人を褒めたり、惹かれたり、大事にしてくれたりする度に本当に安心してしまう。
嬉しかった、嬉しかったね。


秋、少年たち。ここ数年定期的に「次なのかな!?」と言われていた少年たちが、ついにきた。つなぎで踊ったあの日のハイ美を思い出して胸がいっぱいになった。
これは少年たちだけじゃないけれど、魔女宅を経てから本当になすくんは声の出し方や歌が変わって、何回見てもびっくりしましたよねほんとにね!?
努力の証。そしてビジュがびっくりするくらい良くて言葉を失って何度も卒倒しかけた。指輪でさらに卒倒したけどそれはまた話がずれるので置いといて…
本当にありがたいことにこのへんになると(まだまだ油断できない状況ではあるものの)現場があることが少し日常になってきて、それが凄く嬉しかった。
こう通して振り返ってみると本当に、今年はちゃんと春夏秋冬、一緒になすくんがいたんだなあ。嬉しい。


ここまできたらもう誰が感染してもおかしくないので、なったらだめだとかならなかったら偉いとか、そういう話ではない。ないのですが、それでもなすくんが今年のお仕事を、ドリボも魔女宅もサマステも少年たちも、感染や情勢によって休止になることなく走り切ったのが本当に嬉しい。本当に嬉しいし、ほんっとうに凄い。
なすくんが元気で良かった、もう本当に、一生これにつきる。


「みんながハッピーになれるよう、最高にキラキラしてくるね!」


この言葉が大好きだった。それって自分が輝くことが誰かを救っている、自分のきらめきで誰かを救えるって自覚しているってことで、それが嬉しくて、それが最高でたまらなかった。心の底からアイドル。
こう思って、あのステージに飛び出して行ってくれる限り、私はずっと、ずっとハッピーだ。


だから今年も最高だったし、来年も絶対に最高なんです。
2021年、自分なりに環境が変わった私の世界に、病院に通いまくった私の世界に、神さまがいたか私は知らない。来年の私に、どんなことがあるかもやっぱり知らない。
魔法なんてない、自分のこんなちっぽけな道で何を見つけられると言うんだろう、そんなことばかり思うことも、正直あったしこれからも多分ある。
それでも。思い返せば、なすくんが笑っている。


こんなにこんなに好きでもやっぱりどうしたって私となすくんは他人なので、仕事をして周りの人間と関わって自分の人生を生きる私の全部を、なすくんが救うことはきっとない。それは当たり前のことで、なすくんは私の人生を左右する神さまじゃないし、私の全てを変えてくれるわけじゃない、全部に魔法はかけられない、私と関係のないところで光って、生きて、それでも、きらめきのかけらをくれる。

まさに魔法の、『おすそわけ』をしてくれる。
そのかけらがあんまりにも綺麗だから、魔法みたいに眩しく光ってみせるから、大切でたまらないと思えてしまうから、やっぱり私は魔法使いを信じている。
まだ見つかりきらない私の魔法を、魔法が存在する世界を、頑張りが報われる世界を、光がまっすぐ正しいものとして扱われる世界を、信じることができる。


現場の帰り道、なすくんを好きだなと思う時、胸の真ん中がぎゅっとなって、星が落ちてきたみたいにちかちかしてて、多分そこが心の場所なんだなあといつも思う。
その時、たしかにそこになすくんがいる。
辛い時も、へこたれる時も、ふと心の大事なその部屋からなすくんが顔を出して、あの時くれた魔法を思い出させてくれる。そうして私の人生は続く。
私も、自分を信じる力だけは誰にも負けないって言えるようになりたい。そうやって光るなすくんを、大好きになった私だから、そうやって生きるなすくんから、魔法を信じた私だから。


来年も好きでいたいな、とか来年も会いたいな、とかたくさん思うけれど、とにかく来年も元気でいてほしい。笑って、楽しく生きていてほしい。
今年最後の日もたくさんなすくんが好きで、明日もきっとなすくんが好きなので、来年もきっとなすくんが大好きで、今とは違う、新しい景色をたくさん知った私になれるんだろう。


楽しみだな、嬉しいな。何が凄いって今夜も明朝も明日だってもうなすくんの仕事があるのだ。凄い。凄すぎる。
そんな世界や何よりもなすくんに感謝しながら、来年も大切に大切にしていたいなと思う。


今年もいっぱいありがとう。元気でいてくれて、光ってくれて、ありがとう!
またね!

 


というか20歳になるのやば……
2022年、なすゆうとくん20歳、やば……