井戸が眠る

なすくんが笑ってるから今日も五億の星が笑って見える

きらきらひかる

 

2月10日。

仕事の癖で早めに目が覚めてこれまた癖で起床早々何の気なしに開いたツイッターで流れる文字を見た途端、飛び起きて化粧もそこそこに飛び出した朝。

 

休日の朝の空気は冷たく澄んでいる。時間を気にしながら早足でただ駅を目指して歩く普段とは違う、どこか余裕を孕んだ青空。がらんとしたコンビニの中も何処かのんびりとした空気を(もちろんこれは完全に私主体の気持ちによる違い)纏って、各々好きな時間を過ごしているように見えた。ぼんやりとサラダコーナーを眺めるすっぴんのお姉さん、イートインコーナーでぼんやりとコーヒーを飲む中年男性、荷物をテキパキと詰めていく店員、そして新聞コーナーを凝視する私。

この連載のためにしか買ったことのない新聞の中身を少しだけ確認して、ちらりと見えたそれだけで胸がいっぱいになって、カゴに入れる。ついでに朝ごはんと、なけなしの女子力を気にした健康飲料、そしてメリーチョコ——は入れようとしたら店頭になかった。断念。

(別に買い占めアピールでもなんでもなく嵩張るので)すぐに新聞でいっぱいになった自転車のカゴを見つめて、なんか新聞配達の人みたい、なんて思いながらどこかふわふわした気持ちで冷たい朝の中を突っ切っていく。

 

そしてこの2ピー歳の冴えない私(今日の予定は昨日までの仕事の疲れをとるために惰眠を貪る、以上)、新聞を読みながらぽろぽろ泣いている。朝8時だ。

 

前置きが長すぎる。なんかもう前置きなのかさえ分からない。

 

那須くんのスポニチが6人の中で最後だと分かって、焦れったい気持ちと、その中にある嬉しさがいつもぐるぐると心の中で回っていた。元からケーキの苺は最後にとっておく派なのだ。

その間に随分時間があったので、素敵な写真に素敵な場所のチョイス、最高に愛おしい言葉を述べてくれる大好きなメンバーを見ながら、なんとなくの予想をしていた。

那須くん、どこにするのかな。大好きなファッションの街か、行きたがってる遊園地?イルミネーション?バッティングセンターも良いなあ、銀杏並木だったらどうしよう!とか思いながら、那須くんwwな、なぜww那須くんのこういうとこだよwwってなる気もした。(那須くんのジュニアボイス参照である。最高だね!)

 

内容も、なんとなく妄想して耐性(耐性とは?)を付けていた。グループのことを胸熱に語るか、部活時代の話、入所の時の話もありえるし、そう言いながらもしかしてあんまり新しいことは話してくれないかもしれない。締めはやっぱり今は「個人仕事」なのかな。凄く好きな言葉を言ってくれて泣いてしまう気もすれば、うんうんいつものなすくんだ!でも最高にかわいい!ありがとう!ってなって終わる気もしていた。

 

そして開いた瞬間、あ〜〜なるほど!と思った。新聞に載るのに相応しい(いやこの新聞を読む層、正確には知らないけれど)、理知的な空気を全面に押し出した文字。インテリ、勉強、姿勢の良さにお家柄の良さ。私の好きな賢さだった。残念ながら高校生読者ではない私にはもう試験勉強というものは中々存在しないのだが、私は那須くんの努力に基づいた勉強の話がだ〜〜〜いすきなので、ニコニコしながら読み進めた。

 

昔、1時間勉強してから休む、と言っていた那須くんは(いやまあその時はざっくり時間を言ってただけって可能性も大いにあるけど)「40分勉強して休む、試行錯誤した結果この配分がベスト」に変わっていて、こうやって常により良い道を模索していく那須くんの豊かさがやっぱり好きだなあと心から思った。

那須くん、賢いのはもちろん知っていたけれど、予習していたストックが(いやまずストックがあるのが凄すぎるけどね!?)無くなってきたって言っていたし、両立大変そうというかそりゃ〜まあ大変だろうし、授業を休んでくれているし、まあ平均水準を保ててる(言葉にすると簡単な響きになってしまうがそれだけで本当に、本当に、物凄いことだ)くらいの成績なのかなと思っていたのだけれど、本人曰くまさか上位の方にはいられているなんて、なんというか本当に那須くんは天才だった。努力の天才。自頭の吸収力も天才。こんな人間がいるか?いるんだよ……

 

途中進研ゼミの宣伝文か塾の合格体験記かな?という感じで微笑ましくて笑ってしまったが、最後にやられた。ずがんと落とされた。私の欲しい言葉だった。

前述した通り私は、那須くんの勉強の話が好きだ。

決して幼い頃から持って生まれた才ではなかった話、文化祭で化学カイロについて説明した話、緑ペンで暗記をしている話、単語帳を欠かせない話、数学の授業が楽しくて一瞬に感じる話、貧困問題に興味がある話、ノートを暗記して電車の中で自分で問題を出している話。まだまだたくさんのそんな話を聞く度に、私は那須くんのことを改めて尊敬するし、愛おしくてたまらなくなる。

でも、だからこそ言われる言葉、向けられる目がたくさんあることを、私はこの子のことを好きになった日から痛いほどに知っていった。

 

一番最初に気付いた目は、賢いイメージからくる「計算高そう」。そして意外に喋らない姿からくる「頭が固い」「怖い」、そこから導かれる性格の良し悪し。

そして何より、大学進学とともに、就職と共に、デビューできなかったら、上手くいかなかったら「辞めそう」。

優良な道があるからこそ、諦めた後の道だって輝かしいからこその、そんな意見たち。もう正直耳にタコができるくらい聞いてしまった。

人の感情には色んなものがあって、ネットの海には色んな言葉があって、意図的に刃物を振りかざしたものから、無意識に振りかざされた純粋な意見や残酷な偏見まで、様々なものがある。それは那須くんだけが特別たくさん言われているとかそんなことは決してなくて、誰だってそうだろうし、特に私は小中学生時代から2ちゃんねるニコニコ動画に浸かっていたような女だから、自分で言うのもなんだが人よりそういう波に対する耐性はある。

健やかオタ活第1条は、自分が見て嫌な気持ちになるものは自分から見ない。十人十色の人の意見は変えられない。百害あって一利なし。

私だってほんとの那須くんなんて分からないので、結局は「表面だけ見た一般的な偏見」vs「表面を奥底だと信じきっている盲目な信仰」という、何の価値もないどうしようもない図でしかない。

それでも、そう思っていても時折勝手に感じ取ってしまう世界のさざ波があって、中々健やかを保ってくれない私という人間の心はその棘を受けて勝手に傷ついたり落ち込んだり時に攻撃的になったりしてしまう。難しいね。

 

けれどやっぱり、結局アイドルを好きという気持ちの答えはその他大勢の意見ではなくていつもアイドル自身、それを見たときの私自身の気持ちにあるし、まあ言ってしまえば現場にある。と少なくとも私は思っている。

那須くんに対して、那須くん自身が原因じゃないもので悩むたびに、結局那須くんから答えを貰っている。凄い。

 

前に雑誌の端っこ、2020年の自分について話すコーナーで、那須くんは大学と仕事の両立をあげていて、ああ那須くんの中で「大学生になった自分」を考える時に、そこには当たり前のようにアイドルを続ける自分もいるんだ、という事実にどうしようもなく安心したし嬉しくなった。

 

もちろん、私だって誰だってそうであるように、那須くんの気持ちだって変わり続けていく。那須くんは色んなものを吸収して、時に刺激され、考え続け、自分なりの新しい方法や解を探していく。そうして豊かになり続けていく。那須くんはそんな男の子だ。

だから、この先那須くんが何か新しい夢を見つけたって、やっぱりこうしようと新しい道を模索し始めたって、それは何も間違いじゃないし、それで「ずっとって言ったじゃん!嘘つき!」と言う資格なんて私たちにはないし、別にそうなったからといって今この瞬間那須くんが抱いている気持ちや言葉が「嘘」になるわけではない。

変わり続ける世界の中で、動き続ける心の中で、それでも今那須くんが放ってくれる言葉は嘘偽りのない本当の言葉だし、そんな那須くんの豊かになっていく心に、考えた末に選んだ道に、「嘘だった」も「諦めた」も「だめになった」もない。無駄なものなんて何にもない。

私はこの子にこれからどんなことがあっても、どんなに辛い風が吹いても、それを本人から出るならともかく外野の勝手な目から「挫折した」なんて言葉で言いたくない。誰がなんと言おうと、絶対に。

その気持ちだけはどんな時も、蠍が最後まで燃やす心臓みたいに、胸の奥でちかちか光っている。その光の熱をくれるのはやっぱりいつも那須くんなので、私は那須くんを星だと思う。

 

この話、何回でもしてしまうけれど、那須くんの目の前にはきっとたくさんの道がある。

平凡な人間代表のような私でさえそうなのだ。特に最近年齢的に転職する友人が増えて、ますます実感した。

どの学校に行く?部活を、バイトを、仕事を続ける?付き合う付き合わない?結婚する?子どもを産む?趣味を始める、辞める?人生の終着点まで私たちは選択をし続けていく。小さなものから大きなものまでそれらが積み重なって今の自分がいて、それが間違いだったとか正解だったなんてことは結局最後まで分からない。

私だって後悔のない人生、なーんてことはもちろん全くなくて、こうしておけば、が積み重なっているけれど、結局今それなりに幸せだし、何よりも人生の何か少しでもずれていたらきっと那須くんに出会っていないので、それだけでもう本当になにもかも花丸をあげたい気分にすらなる(そう思える存在がいること、誰がなんと言おうと本当に幸せだと思う)

 

そんな私の何倍も、那須くんの前には道が広がっている。こんなにも整っていて、頭も良くて、フィールドもそれなりに揃っているし、何より努力家で、まっすぐで、そして有り余る若さがある。百の道があるそんな那須くんが今この道を選んでくれている事実が、私はいつも切なくなるくらい尊くて大事で、大好きで。そして、

そんな那須くんが、言ったのだ。

 

「でも人生の目標はただ一つ」

 

読んだ瞬間、本当に馬鹿みたいだけれど、良い歳して痛々しいことこの上ないけれど、胸がいっぱいになって、連動するように瞳から気持ちが溢れた。朝8時、ぽろりと落ちた雫。なんて矮小でくだらないどうしようもない涙。

それでも、これが答えだと思った。他の誰かにとっては違う印象だとか真偽だとかそんなものは全部どうでも良くて、私にとってはこれが答えだった。

「他の夢はありません」

どきりとするほど鋭くて強い。

星の言葉だった。

 

那須くんは、実際結構分かりやすい方だと思う。まあ、結局私はきっと彼のことを知らないし、本当のことなんて考え出したらも〜〜うキリがないし、そもそも結局ただのアイドルでしかないんだけど。

けれど、とりあえず私にとっての那須くんは、とても真っ直ぐで、気持ちを伝えてくれるアイドルだ。

昔はもっと話してよ〜!なんて思ったこともあるけれど、思い返してみればそんな昔の言葉さえ含めて、那須くんは好きなこと、嬉しかったこと、頑張っていることや負けたくないもの、欲しいものをちゃんと言葉にしてくれる。

メンバーが大好きなことも、大事にしたすぎて不安になってしまったことも、グループを守りたいことも、個人の力が欲しいことも、ステージが生きがいなことも、学校の友達との時間がもっと欲しいことも、一人行動を好むところも、寂しがりやなところも、きっと全部なすくんの気持ちだ。

本人も、「僕は思ったことや感じたことはすぐに話す」と語ってくれたので、私は那須くんの言葉たちを信じている。

そんな那須くんが、僕を知りたいなら雑誌のテキストまで注目してねと言った那須くんが、人生の目標はただ一つだと、そう言ったのだ。

今の那須くんが見つめている道は、たった一つだった。勉強も生活も、大事なものを取り漏らさないように生きる那須くんは、真っ直ぐに先にある夢を見つめていた。

 

「これからたくさんの困難な壁にぶちあたると思うけど、僕たちならきっと乗り越えていける。

絶対に6人で、スーパーキラキラアイドルになろうね」

 

たどたどしく手紙で語った夢。

ああ、本当にずっと、那須くんの芯は変わらないのだと、そう思う。何度だってそう思うのだ。変わり続けて豊かになる那須くんの、変わってない真っ直ぐな芯。この眩しさを、夢と言わずになんて呼ぶのか。那須くんはまさに今、夢を見ているのだ。そして夢を夢で終わらせないための、努力をしている。強くて真っ直ぐで、眩しい輝き。それを感じる度に愛しくなる。安心するし、誇らしくなるし、もっともっと大事になる。だから私の気持ちも変わらない。

那須くんの見る道が一つなら、今那須くんを見ている私がとる行動も一つ。信じてついていく。それだけ。何度でも、何度でも、そう思うのだ。

 

「口数は決して多くないが、全ての言葉に強い覚悟を持っており、性格も一本筋の通った男」

 

そう。そうなんだ。それが私の好きになった男の子だ。その知性的で整えられた表情の中に秘めた熱さが(ついでに時折滲む子どもらしさや気を許したら現れる無邪気な明るさも全部)、迷いながら考えながらそれでも突き進む強さが、そんな過去の道全てによって作られた自信や努力という武器が、今日も那須くんを輝かせていく。

 

肩こりが心配だ。無粋な言葉の槍が心配だ。守ってくれるのか羽ばたかせてくれるのかそのまま乱雑に扱ってしまうのか分からない土壌が心配だ。大変すぎて潰れないか心配だし、勉強だって無理しないか心配だ。

けれど、それでも、那須くんが頑張ると言う限り私も頑張れを言う。頑張れ、頑張れ、輝き続けて、夢を見続けて、望んだ道を歩き続けて、その星に手が届くまで。

頑張れ、頑張れ。信じてついていくからね。

心に星が灯ったみたいに、その気持ちがいつも私を動かす。その気持ちで私も私を頑張れるのだ。

 

新聞を開くと、紙の匂いがした。それは図書館の香りにも似ている。この静かな香りと静謐な場所に囲まれて、那須くんはキラキラのスポットライト、笑顔と歓声溢れる人の熱狂、そんな熱い夢を見ている。どちらも那須くんを作る世界。何度でも私はそんなところにくらくらとしてしまう。

強い強い星の言葉が、私の気持ちも強くする。単純なようで簡単ではなくて、でも結局これが根本の気持ち。たった一つの答え。

信じてついていく。きっと明日も那須くんのことを信じている。

もうすぐ春が始まる。

 

 

 

 

しかしそんな那須くんも、ババ抜きが弱いのである。

え???かわいくない???

こんな高学歴で努力家でスマートな顔をして熱い星を胸に抱いているのにババ抜きは弱い那須くん、

超可愛くない?????

か、可愛い!!!!!

 

〜〜完〜〜